長友佑都のインテル全試合ガゼッタ採点+寸評【2月】
■2月6日|第24節 vsローマ(H)5○3
出場時間:15分間(途中出場)
『ガゼッタ』紙採点:6
『ガゼッタ』紙寸評:「15分に渡り左サイドを掌握し、多少疲れの見えていたマルコ・カセッティを2度抜き去った」
ホームのローマ戦でインテルでのデビューを飾る。ファンサイトには「明日のことなんて考えずに走れる選手。何度か良い場面も迎えたし、期待できるね」、「全試合で先発出場してほしい」との書き込みも。
■2月13日|第25節 vsユヴェントス(A)0●1
出場時間:18分間(途中出場)
『ガゼッタ』紙採点:5.5
『ガゼッタ』紙寸評:「最後の15分の段階で投入されたラスト・サムライ。期待した人々を裏切る形になったが、おそらく長友への要求は大きすぎた。持ち場である左サイドに入ったが、彼自身が試合に入ることができていなかった」
インテルのテクニカルディレクターを担当するマルコ・ブランカ氏は「我々は長友に絶大な信頼を寄せている。完璧にチームに溶け込んでいるね」とコメント。
■2月16日|第17節 vsフィオレンティーナ(A)2○1※クラブワールドカップに伴う順延分
出場時間:71分間(先発出場)
『ガゼッタ』紙採点:5.5
『ガゼッタ』紙寸評:「初先発だったが、不安げで、戸惑い、正確性を欠いたように見えた」
インテル加入後初スタメン。副監督のジュゼッペ・バレージは「初スタメンだったが、難しい相手にとても素晴らしいプレーができることを証明した。我々は彼のパフォーマンスにとても満足している」と発言。
■2月19日|第26節 vsカリアリ(H)1○0
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:6
『ガゼッタ』紙寸評:「また一歩、成長の道を踏み出した。前で良い基準となり、守備面は進歩している」
2節連続のフル出場。現地紙はディフェンス面の順応を評価。
■2月23日|チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第1戦vs バイエルン(H)0●1
出場時間:ゼロ
『ガゼッタ』紙採点:−
『ガゼッタ』紙寸評:−
チャンピオンズリーグの登録メンバー入りを果たし、ベンチ入りしたが、出番はなし。大会デビューは第2戦に持ち越しとなった。
■2月27日|第27節 vsサンプドリア(A)2○0
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:6
『ガゼッタ』紙寸評:「右サイドをスプリングのように飛び上がり、スパートした。運動量も豊富で、守備の面でも処理を誤ることはなかった。キラリと光るアイデアは必ずしも十分とは言えない」
試合後、レオナルド監督が「長友は完成されたサイドバック。常にアグレッシブで、右でも左でも、低い位置でも高い位置でも、高度なプレーができる。インテルにとって不可欠な戦力だ」と称賛。
【3月】
■3月6日|第28節 vsジェノア(H)5○2
出場時間:12分間(途中出場)
『ガゼッタ』紙採点:6.5
『ガゼッタ』紙寸評:「小さなサムライは、(ミランのフィリッポ)インザーギのように姿を変え、反転してゴールを奪った。長友がボールに触れると、サン・シーロは沸き立った」
インテル、そしてイタリアでの初ゴール。最前線に攻め上がりFW顔負けの力強い左足のシュートで得点を挙げた。試合後、レオナルド監督は「多くの偏見がつきまとう中でインテルにやってきたが、長友はインテルの一員になり、プレーできることを示したんだ」との言葉で長友をたたえ、ゴール後にお辞儀パフォーマンスを披露した長友本人は「僕はインテルに感謝の意を述べなければならないね。クラブを実の家のように感じさせるために、あらゆることを尽くしてくれている。サポーターにも感謝したい。なぜなら、僕の仕事は守備をすること。ゴールを奪いに行く必要はないだろう。だから、今日起こったことは、サポーターから送られたプレゼントなんだ」と語り、チームとファンへの感謝を示した。
お辞儀の相手となったサネッティは「ユウトとは、最高の関係にある。毎朝、お辞儀をして挨拶し合っているんだ。彼のパフォーマンスには満足しているよ」
■3月11日|第29節 vsブレシア(A)1△1
出場時間:78分間(先発出場)
『ガゼッタ』紙採点:6
『ガゼッタ』紙寸評:「攻め込むことはほとんどなかったが、守備面での進歩は確かなもの。ザンベッリを封じ込むのは、容易ではなかったはずだ」
■3月15日|チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第2戦 vsバイエルン(A)3○2
出場時間:3分間(途中出場)
『ガゼッタ』紙採点:−
『ガゼッタ』紙寸評:「たくさんの拍手を送られ、愛情を寄せられた。なぜなら長友は日本人だからだ(この数日間、私たちの誰もが日本人のことを思っている)。ピッチに立ってすぐの逆転劇。長友はチームに幸運をもたらした」
この試合でチャンピオンズリーグデビューを果たした長友は、「どんなに離れていても心は一つ。一人じゃない、みんながいる! みんなで乗り越えよう! you’ll never walk alone.」のメッセージ入りの日の丸を掲げた。
■3月20日|第30節 vsレッチェ(H)1○0
出場時間:ゼロ
『ガゼッタ』紙採点:−
『ガゼッタ』紙寸評:−
パッツィーニ弾でインテルが勝利し、首位ミランとの勝ち点差を2に縮めたが、長友は出場機会を得られなかった。
【4月】
■4月2日|第31節 vsミラン(A)0●3
出場時間:ゼロ
『ガゼッタ』紙採点:−
『ガゼッタ』紙寸評:−
初のミラノ・ダービーへの出場はなかわず。試合前にはマテラッツィと東日本震災被災者支援のメッセージが書かれたTシャツを披露した。
■4月5日|チャンピオンズリーグ準々決勝vsシャルケ(H)2●5
出場時間:14分間(途中出場)
『ガゼッタ』紙採点:−
『ガゼッタ』紙寸評:−
内田との日本人対決を終え、長友は「点を取ったところまでは良かったですけど、取られてから集中力が切れたかな、というのはあります。でも、シャルケのメンバーとウッチー(内田)が素晴らしいプレーをしたと思います。(日本人対決について)本当に、僕らも日本人としての誇りを持って戦いました。まだまだ結果は分からないので、次のアウェー戦で最後まであきらめずに戦いたいと思います」とコメント。
「ウッチーは、今日は、いやいつも良いプレーをしているし、僕も見ならうところがすごくありますけど、今日は絶対に負けたくないという気持ちで、僕も短い時間でしたけどピッチに入りましたし、本当に、日本のみなさんには、こういうメッセージだったりは伝わらなかったとしても、僕らの気持ちだったりは絶対に伝わると思うので、それを見せようと必死で戦いました。戦うだけです。頑張ります」
■4月9日|第32節 vsキエーヴォ(H)2○0
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:7
『ガゼッタ』紙寸評:「素晴らしいコンディションだったが、序盤はチームメートが長友を使おうとしなかった。だが幸い、すぐに長友を生かすようになりサイドを駆け上がり始めると、とどまるところを知らないパフォーマンスを披露。守備で混乱することもなかった。素晴らしい。あと一歩のところまでゴールにも迫った」
現地メディアの『CALCIO MERCATO WEB』は「日本人がインテルに幸福をもたらした。長友は自分のプレーがチームを満足させるものだと証明した」と称賛記事を掲載。長友は「チームの勝利に少しでも貢献したかった。魂を込めて戦った。試合に勝てて嬉しい。インテルには多くの素晴らしい選手がいるので、僕がいつもスタメンで出場するのは難しい。でも、僕は出場するためにいつも準備をしているつもりだよ」との言葉を残している。
■4月13日|チャンピオンズリーグ準々決勝第1戦 vsシャルケ(A)1●2
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:6.5
『ガゼッタ』紙寸評:「長友はマンガではないし、キャプテン翼から生まれてきたわけではない。それでも、1時間に渡り(イタリアのポップシンガー)ジョヴァノッティの歌の高まりのように、サイドで上下動を繰り返した。彼をレギュラーのままにすべき」
「この敗戦は非常に悔しい。でも、僕らに立ち止まっている時間なんてないんだ。これからはリーグ戦とコッパ・イタリアに集中していかなければならない」と語った長友は、「僕らは敗れてしまったけど、内田がシャルケとともに勝利したことは、日本人として少しうれしく思っているんだ。なぜなら、内田がシャルケとともに大会を勝ち進んでくれるからね」と内田の勝ち上がりをたたえた。
■4月16日|第33節 vsパルマ(A)0●2
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:5
『ガゼッタ』紙寸評:「右サイドは彼のポジションではない。満タンの水槽を背負っているかのように思えた。終始、対峙するモデストには弱気で、先制点を奪われた場面では(アシストを決めた)モデストの対応を誤った。後半は、左サイドにポジションを移したが、ほとんど良くはならなかった」
長友の試合後のコメントは「僕たちは団結していかないといけない。今、チームに疲れが見えるかもしれないけど、それを言い訳にしてはいけないんだ。重要なことはもう一度エネルギーを入れ直して、今までのようにチームとして前進していくことだと思う。パルマ戦では攻撃を仕掛けていたし、チャンスを作っていた。(サミュエル)エトーがもっと攻め上がるようにアドバイスしてくれたから、そうするように心がけた。でも残念だけど十分じゃなかったね」というもの。
■4月19日|コッパ・イタリア準決勝第1戦 vsローマ(A)1○0
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:6
『ガゼッタ』紙寸評:「正確性を欠いていたがダイナミックな動きをしていたロドリゴ・タッデイを相手に、良い結果を残した。ただ攻撃参加の際にはうまくいかない場面やボールが回ってこないシーンも見られた」
公式戦4試合連続で先発フル出場。豊富なスタミナとスピードを生かしたオーバーラップを披露したが、効果的なクロスは供給できず。
■4月23日|第34節 vsラツィオ(H)2○1
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:7.5
『ガゼッタ』紙寸評:「最初から最後までプレッシャーを仕掛け、彼より身長の高い相手にもヘディングで飛びかかった。今シーズン、インテルに欠けていた闘争心に飢えている象徴的存在だ」
長友自身は「アグレッシブにプレーできたことが、一番良かったと思います。今日はインターセプトもどんどん狙っていったし、前に仕掛けていこうという気持ちが強かった。それを体現できてよかったと思います」と試合を振り返り、マッシモ・モラッティ会長は「とても賢い選手で、並外れたサイドバックだ。彼のようにスピードに長けた選手は、攻撃に出るのは優れているが守備面が弱い。しかし、ユウトは常に注意を怠らず、相手にスペースを許していない。最高の資質を多く持ち、日に日に良くなっている」との賛辞を表明。
レオナルド監督は「私にとっては当初、彼はチームの中で交代要員に過ぎなかった。だが、彼のクオリティーが、我々に交代要員としてではなく、チームとしての新たな”解決方法”を持たせてくれるようになった。しかし、(彼の活躍は)驚きではない。彼の価値、そしてそれを我々にもたらしてくれるだろうということは分かっていた」と語っている。
■4月30日|第35節 vsチェゼーナ(A)2○1
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:5.5
『ガゼッタ』紙寸評:「緊張からかもしれないし、マイコンにボールが集まっていたからかもしれないが、本当に試合に入ることは一度もなかった」
古巣との一戦を終え、長友は「チェゼーナに戻り、かつてのチームメートと話せたことはとても素晴らしいことだった。ファンからの僕のチャントが聞こえてきたとき、僕はとても幸せだったし、とても素敵な気分になったよ。自分の成長をチェゼーナのファンに示せたと思う。でも僕はまだまだインテルで成長していかなければならない」とコメント。
【5月】
■5月8日|第36節 vsフィオレンティーナ(H)3○1
出場時間:ゼロ
『ガゼッタ』紙採点:−
『ガゼッタ』紙寸評:−
長友は風邪のため欠場。試合は、パッツィーニの2試合連続ゴールなどでインテルが勝利を収めた。
■5月11|コッパ・イタリア準決勝第2戦 vsローマ(H)1△1
出場時間:ゼロ
『ガゼッタ』紙採点:6.5
『ガゼッタ』紙寸評:「最初から最後までスピードを示すことができるのは彼だけ。常に良いタイミングで攻撃を仕掛け、相手を封じ込めていた」
病み上がりとは思えないほどの好パフォーマンスを披露した長友は、攻守に渡って存在感を示し、チームの決勝進出に貢献。
■5月15日|第37節 vsナポリ(A)1△1
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:6
『ガゼッタ』紙寸評:「ハムシクの仕掛けに多少手こずったが、サイドを駆け上がると常に何かを生み出した」
コパ・アメリカへの日本の出場が議論されていた当時、レオナルド監督は「南米国にとっては公式大会ですが、日本はゲストですからね。従って、我々はどちらかと言えば、長友を行かせないという考えの方が強いです。しかも、彼はとても長い期間、休みなしでプレーし続けていますしね」と、長友の派遣に対して慎重なスタンスを示した。
■5月22日|第38節 vsカターニア(H)3○1
出場時間:フル出場
『ガゼッタ』紙採点:7.5
『ガゼッタ』紙寸評:「スピード、耐久力、ゴールにあと一歩と迫ったクロスの量、そして素晴らしいゴールと非凡な力を見せた。これで十分だろうか? あと一点は、マルケーゼが上がってきた時にばたばたしたことだ」
リーグ戦最終節でイタリアでの2点目をマーク。右足を思い切り振り抜いての得点は、インテルにとってのリーグ戦最終ゴールとなった。試合後、長友は「とても満足している。何よりも、チーム全体が良いプレーを見せたのがうれしいね。ゴールを決めたのは、すごくうれしい。ここ“メアッツァ”(インテルの本拠地)での2点目だし、ファンとチームメートがみんな喜んでくれたのには感動した」と喜びのコメント。
キャプテンのサネッティは「ユウトとプレーするのは本当に気持ちがいいね。彼は優れた特徴を持っていて、何度も相手のマークをかわしてパーフェクトなクロスを上げていた。ユウトが完璧にチームに溶け込んで、インテルにとって非常に重要な選手になったことは、とても喜ばしいことだね」と長友に賛辞を送っている。
■5月29|コッパ・イタリア決勝 vsパレルモ(−)3○1
出場時間:ゼロ
『ガゼッタ』紙採点:6
『ガゼッタ』紙寸評:「バルザレッティを抑えるのに専念し、守備に徹した。いつもよりも弱気なプレーに終わった。彼の本当の脚力は、今日の試合で見せたようなものではない」
出場停止のマイコンに代わり、右サイドバックでフル出場。攻撃参加が持ち味のバルザレッティを抑えるなど、堅実な守備でチームの優勝に貢献。試合後、長友は「夢を見ているような気分」との言葉を残した。
ほんの数年前までほぼ無名の大学生に過ぎなかった男が、世界王者の一員としてイタリアでタイトルを獲得。まるでシンデレラ・ストーリーのような話だが、恐らく、このストーリーにはまだまだ続きがある。
http://www.soccer-king.jp/column_item/20110530_nagatomo.html